2018.12.08 12:36「橘良基の廉直さ」 頼襄頼 山陽(らい さんよう)安永9年12月27日(1781年1月21日) - 天保3年9月23日(1832年10月16日)江戸時代後期の歴史家、思想家、漢詩人、文人
2018.12.05 14:12「人の言」 幸田露伴 その3 ・・・・・狩の技に巧みな人が言った。いい犬はひたすら鳥の方へ向かって進み、悪い犬は途中から横にそれて、自分の心のままに狂い遊ぶものである。 心浮ついた性質の女は悪い犬の様である。その心が定まらないのも、事実を言えば罪の少ないもので、憎むには足らないのである。 しかしその振る舞いの愚かなる事は、悪い犬の己に利益を作らず、主人も利せないのと似ている。心あるものには遠ざけられるを得ない。 悪い犬はしばしば巧みな狩人を失敗させるように、浮ついた性の女はしばしば目上の賢い人の価値を低くすることが有るからである。・・・・・ある人いわく。女は全て強いものを喜ばず弱いものを喜び、大きなものを喜ばず小さいものを喜び、優れてるものを喜ばず劣っているものを喜ぶ。 女の言葉...
2018.12.05 14:06「人の言」 幸田露伴 その2 ・・・・・あるひと曰く。雇い人に惚れられないような主人は大きい利益を得ることができない。・・・・・あるひと曰く。上杉景勝(うえすぎかげかつ)は百五十万石を統治してその家来であった直江兼続(なおえかねつぐ)に三十万石以上を与え、石田三成は自分の領土のなかばを客島左近(かくしまさこん)に与えた。 天下を争うものの気象と言うべきであろう。 上杉や石田はそのような行いがあってさえ戦いに敗れた。まして上杉石田のような気性もないやからが、人を語らって商業上の同盟を企てて、大いに勝とうとするのもそれが敗れるのは当然の理である。・・・・・あるひと曰く。貧しい家に育って富をなすものはただ二種類の性質の人のみである。 その一は生まれつき気が大きく、手の中に金が有るときも...